【用語】解雇規制

WLB_cafeでは「迷走する両立支援」イベントのブックレット作成を企画しています。イベントの中で出てきた分かりにくい言葉や、解説の必要そうな言葉については、用語の説明を付けようと考えています。この用語説明は @kobeni さんが作成しました。ついに用語コンプリート!ブックレット公開間近です!)

解雇規制

解雇規制とは、主に正規社員の雇用を守る法律的な規制。過去の様々な労働判例から確立されている。
第二次世界大戦終戦後、多くの労働争議を背景として、解雇規制は確立された。高度経済成長期、日本型の雇用慣行下では、企業は慢性的な人手不足により常に労働力を必要としていたため、大きな問題は生じていなかった。しかし、バブル崩壊を契機とした日本の長期不況の期間には、この強い解雇規制が様々な問題を生み出しているとして、経済学者・法学者によって解雇規制の緩和が論じられるようになった。特に2008年12月頃に、リーマンショックによる不景気で一般派遣社員の大量解雇が発生して以来、活発に論じられるようになった。

日本には「整理解雇の四要件」があるため、正規社員の解雇が極めて難しく、そのために企業は正規社員の採用に慎重になり、正規と非正規の格差を拡大している。


整理解雇の4要件

  1. 人員整理の必要性余剰人員の整理解雇を行うには、削減をしなければ経営を維持できないという程度の必要性が認められなければならない。
    人員整理は基本的に、労働者に特別責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされることから、必要性の判断には慎重を期すべきであるとする。
  2. 解雇回避努力義務の履行  期間の定めのない雇用契約においては、人員整理(解雇)は最終選択手段であることを要求される。
    例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、整理解雇を回避するための経営努力がなされ、人員整理(解雇)に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。
  3. 被解雇者選定の合理性  解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
  4. 手続の妥当性  整理解雇については、手続の妥当性が非常に重視されている。例えば、説明・協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を満たしても無効とされるケースも多い。

OECD経済協力開発機構)は日本における労働市場の二極化について、度々、これを是正するよう求めている。正規・非正規格差の原因となっているのは、解雇規制であると指摘している。


手厚い解雇規制に守られているのは、強い労働組合によって保護された大企業・公務員の男性正社員のみであり、中小企業で働く男性や、一般の女性はそれほど雇用が保護されていないという指摘がある。また、裁判によって解雇の不当性が議論されるのも全体の解雇からすればごく一部であり、むしろ大企業と中小企業での解雇規制の基準の不平等を問題視する意見もある。
女性は、「結婚したら仕事を辞めるべきだ」という認識があり、産休・育休を理由とした解雇が問題となっている。


wikipedia「正社員の解雇規制緩和論」「整理解雇」より一部引用)


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